解説
和名:アマミノクロウサギ |
分類群:兎目・ウサギ科 |
学名:Pentalagus furnessi |
方言名:クルウサギ |
指定状況: ・国指定特別天然記念物 ・国内希少野生動植物種 ・絶滅危惧ⅠB類(EN) |
分布:奄美大島・徳之島 |
特徴: 奄美群島固有種。頭胴長35.0~55.0cm,尾長1.0~3.0cm。耳の長さは,本土に生息するノウサギの半分ほどで,足も短い。体毛は親ウサギが茶色っぽく,仔ウサギが黒色である。強じんな爪を利用して,急斜面を登ったり穴を掘ったりする。 金属音のような甲高い鳴き声を発する。 平地から山地に生息し,広葉樹林の自然林や二次林,ススキ林,海岸などなどで活動するが,耕作地や人家の庭などでも見かけることがある。主に夜行性であるが,薄暗い日には日中でも活動することがある。シイの実をはじめとする種子や果実,ススキ類などの草本・樹皮・若葉などを食べる。 昼間は岩のすき間や樹の洞,斜面などに自ら穴を掘り,これらを休息用の巣穴として利用する。繁殖期の冬ごろには,仔育て用の巣穴が別に作られ,2日に1回ほどのペースで,親が仔ウサギの元にやってきて,授乳をする。授乳が終わった後は,巣穴をふさぎ,仔ウサギはふさがれた巣の中で生活をするが,巣立ちが近くなると,巣穴をふさがなくなる。 |
人との関わり: 奄美大島ではタンカンの樹皮,徳之島ではサトウキビの農作物被害が報告されている。 本種が初めて文献に登場するのは,江戸時代末期にまとめられた市指定文化財『南島雑話』である。そこには「大島兎」と紹介され,耳が短く,本土のウサギとは少し形が異なり,ネコに似ていると記されている。 特別天然記念物に指定される前は,薬用として捕獲されていた。 |
参考文献: ・石井信夫.2008.「アマミノクロウサギ」.『日本の哺乳類[改訂2版](阿部 永,監)』.pp.149.東海大学出版会. ・服部正策.2017.「第1章 宇検村の陸棲生物ー第2節 陸棲脊椎動物」.『宇検村誌 自然・通史編』宇検村誌編纂委員会編.pp.38-53.宇検村教育委員会. |