解説

和名:ケナガネズミ
分類群:齧歯目・ネズミ科
学名:Diplothrix legata
方言名:ディジロー,オジロネズミ
指定状況:
・国指定天然記念物
・国内希少野生動植物種
・絶滅危惧ⅠB類(EN)
分布:奄美大島・徳之島・沖縄島北部
特徴:
 南西諸島固有種。頭胴長は22.0~33.0cm,尾長は24.0~37.0cmで,日本最大のネズミの仲間である。体毛は,5.0~6.0cmほどの剛毛,2.5cmほどの針状毛(トゲ)などに分けられる。尾が非常に長く,先端付近は白色であることから,他の種と見間違えることはない。
 山地に生息し,主に樹上で活動するが,電線やガードレールの上,林道で見かけることもある。夜行性で,季節の移り変わりにあわせて,シイの実やシマウリカエデなどの樹木の種子・果実や昆虫などを食べる。
 繁殖期を迎える9月ごろからは甲高い鳴き声を発し始め,樹上だけでなく,林道で観察する機会も増える。12月ごろには,灰色の長い毛をまとった幼獣が観察できる。
人との関わり:
 江戸時代末期にまとめられた市指定文化財『南島雑話』には,松鼠として紹介されており,尾の先が白く,日本のネズミと似ていると記されている。マツの木を移動している様子や形態的な特徴から,ケナガネズミのことが描かれていると思われる。

参考文献:
・金子之史.2008.「ケナガネズミ」.『日本の哺乳類[改訂2版](阿部 永,監)』.pp.142.東海大学出版会.
・服部正策.2017.「第1章 宇検村の陸棲生物ー第2節 陸棲脊椎動物」.『宇検村誌 自然・通史編』宇検村誌編纂委員会編.pp.38-53.宇検村教育委員会

ケナガネズミ
ケナガネズミ