解説

和名:オットンガエル
分類群:無尾目・アカガエル科
学名:Babina subaspera
方言名:オットンビキ
指定状況:
・ 国内希少野生動植物種
・鹿児島県指定天然記念物
・絶滅危惧ⅠB類(EN)
分布:奄美大島・枝手久島・加計呂麻島
特徴:
 奄美群島固有種。全長9.0~14.0cm。南西諸島に分布する在来のカエルでは,最大である。がっしりとした体で,足は太くて短い。体の表面にはイボのような突起がある。通常,カエルの前足は4本であるが,本種は先端に鋭い爪がついている5本目の指がわずかに残っている。
 平地から山地に生息し,森林内や渓流,耕作地の水場が近くにある場所などでも活動する。昼夜ともに活動するが,昼間は岩のすき間などでじっとしていることがほとんどである。夏場の夜間には,林道に出てくることも多い。
 昆虫やミミズ,サワガニなどを食べる。
 4~8月ごろの繁殖期には,土砂の堆積した水たまりの周辺に,約30cmの穴を掘り,そこを産卵場所とする。低くて大きな鳴き声は,周辺に広くひびきわたる。
人との関わり:
 江戸時代末期にまとめられた市指定文化財『南島雑話』には,オットンガエルのことを「阿津多留蛙」と紹介されており,大きな犬のような鳴き声を発して,谷川にすんでいると記されている。
オットンビキと呼ばれ、おいしい蛙として食用にされていた。
参考文献:
・内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎.2007.「オットンガエル」.『決定版 日本の両生爬虫類』.pp.136-137.株式会社平凡社.
・松井正文.2016.「オットンガエル」.『ネイチャーウォッチングガイド 日本のカエル 分類と生活史~全種の生態、卵、オタマジャクシ』.pp.172-175.株式会社誠文堂新光社.
オットンガエル(成体)
オットンガエル(成体)
オットンガエル(幼生)
オットンガエル(幼生)
オットンガエル(卵)